当院の診療内容(1)

2023-08-14 21:55:00

身体がだるい、重い、いつものように行かない、どこか変な感じがする。

なんとなく不調な時は、大きな病気の初期症状のこともあるし、逆に今の医学の基準で病気とはいえないこともあり、原因究明には慎重になります。当院で経験する代表的な疾患について説明します。

 

1)貧血

生理の出血量は他人と比較できないので、自分では正常と思っていても過多月経のことはよくあります。鉄欠乏性貧血のパターンで生理直後に採血すると発見しやすいです。この際に、ヘモグロビン濃度が正常であっても、血清鉄や貯蔵鉄が低値であるとメンタル不安定さを感じます。

基本的には鉄剤内服が望ましい治療ですが、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮癌などが原因となっていることもあり、これらに対する検査が必要となることも多いです。

 

2)ホルモンバランス

卵胞ホルモンであるエストロゲン低下によって更年期障害になっていることもあるし、黄体ホルモンであるプロゲストロンにより月経前症候群になっていることもあります。更年期障害と月経前症候群の鑑別は婦人科医でないと難しいこともあります。治療法は違ってきます。原則的には更年期障害であればエストロゲンを補充する方向ですし、月経前症候群であれば自分のプロゲステロンを押さえ込む方向性です。

甲状腺ホルモンが多すぎても、少なすぎても調子悪くなります。疑ったときに採血して調べますが甲状腺異常は少なくなく明らかな異常の時は専門医を紹介しています。

 

3)睡眠障害

OECDの調査によると、先進国のほとんどが女性の方が男性に比べて睡眠時間は長く、フランスの女性が最も長く寝ていました。日本人は男女とも睡眠時間は著しく少なく、特に女性の方が男性に比べて少なくなっています。世界的に見ても日本人女性は睡眠不足です。我が国の女性は男性よりも家事の負担、育児、両親の介護の負担が大きくなっているためと考えられます。NHK放送文化研究所によると、年代別に見ると50歳代の女性の睡眠時間が最も少ないことがわかっています。したがってこの世代は、睡眠不足からなんとなく不調になる可能性は高いです。睡眠障害は様々な疾患の原因になる可能性があり、時には専門医の力が必要となることがあります。気が付かないうちに不安障害やうつ病になっていて、同時に睡眠障害になることもあり注意が必要です。

 

4)心機能、腎機能、肝機能障害、炎症性疾患、膠原病

これらを疑ったときに血液検査、心電図検査、尿検査などを行いますが、異常値を見つけることがあります。たとえば、手指関節痛を訴える方の中には、リウマチファクター陽性、抗CCP抗体陽性になる方がおり、その場合はリウマチ専門医に紹介しております。

 

5)生活習慣病

糖尿病、脂質異常症、高血圧など生活習慣病に知らないうちに罹患していて体調を崩していることがあります。基本的には健康診断等で早期に発見・予防できる機会を持つことが望ましいです。発見の決め手は血液検査、尿検査、血圧測定になります。予防は食事運動療法などの生活習慣の是正、時に薬物療法が必要になることもあります。

 

6)悪性腫瘍

上皮内癌などの初期の悪性腫瘍では症状は出ないことが多いと思われます。ある程度進行してから体調に影響してくるので、まずそうなる前に早期発見が大切です。市町村が行う対策型検診、人間ドックなどの任意検診を定期的に行うことが大切です。それでもくぐり抜けてくる癌はありますので、体調悪い人は悪性腫瘍をいつも念頭に置いて診療すべきと考えています。しかしながら、なんとなく不調なレベルで悪性腫瘍の診断に至ることは難しいことが多いと思います。

女性が罹りやすい5つの癌は、乳癌、大腸癌、肺癌,胃癌、子宮癌の順番です(2019年)。これらの癌検診をしっかり受けましょう。

 

7)妊娠性疾患

周期が乱れた生理の出血と思ったら流産の出血であったり、軽い下腹部痛が子宮外妊娠破裂の始まりであったり、はきけや食欲不振が妊娠のつわりであったりすることがあります。なんとなくこのような不調がある方には尿による妊娠反応を確認いたします。弱い陽性反応が出ることがあります。