当院の診療内容(1)

2023-06-04 22:00:00

月経の時に、下腹痛、腰痛、胃痛、頭痛、腹部の張り、むくみ、だるさ、つらくて横になるしかない、仕事や学校に行けない等、日常生活に支障を来す状態を月経困難症といいます。子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫の方は器質的といい(しばしばこれらは合併します)、明らかな病気がないときは機能性月経困難症といいます。しかし病変を見つけにくいときもあるため、すべてを明確にこの二つに分類することは困難だと思います。器質的月経困難症の場合は手術療法を選択できる点に意義があります。薬物療法に大きな違いはありません。

 

1ロキソニン、ボルタレン坐薬

月経困難症はプロスタグランジンが体中で暴れまくる現象なので、プロスタグランジン合成阻害剤のロキソニン、ボルタレン坐薬が有効です。しかしながら、多くの方はこれらが効かないくらい症状が重いので当院を受診しているのです!

 

2手術療法

当院では手術できませんので、症状があまりにも強い方や、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫が存在し手術適応のある方は高次医療機関へ紹介させていただいております。子宮内膜症のチョコレート嚢腫の直径が6㎝以上、半年で倍以上に増大する場合、壁に結節が見られるとき。子宮腺筋症は壁が45㎜以上で貧血、子宮筋腫では中心部に筋腫があるとき(粘膜下筋腫)や筋腫内に不整なエコーパターン、重度の貧血が見られるときなど、本人の希望と症状の強さをよく確認して手術できる病院へ紹介しているのが実状です。

 

3レルミナ

患者さん「とにかく楽にしてください」、田口医師「わかりました。女性ホルモンをゼロにして生理も排卵も何も起きないようにしましょう」これがレルミナです!111錠朝食前、半年間内服可能で、それ以上は不可です。エストロゲン低下による骨粗しょう症などがあるためです。以前のリュープリン注射より副作用は少ないです。内服中止すれば2週間で生理戻ります。リュープリンは1ヶ月でした。リュープリンは最初の注射後10から14日目にホルモンが増え症状悪化し患者さんへつらい思いさせましたが、レルミナは毎日毎日確実にエストロゲン低下していくので安心です。粘膜下筋腫は突然大出血があるので注意です。

月経困難症重症の方は、まずレルミナ3から6ヶ月治療し、それからヤーズフレックス、ディナゲストにバトンタッチできるとよいです。

 

4ヤーズフレックス、ディナゲスト(ジェノゲスト)

エストロゲンとプロゲステロンがヤーズフレックス、プロゲステロンだけがディナゲストです。初経後3年以内、50才以降は、また血栓症のリスクある方はディナゲストです。それ以外はどちらも選択できます。12回内服は面倒、PMS軽減も、美容効果も、不正出血少なく、避妊効果も、高校の成績改善を求める場合はヤーズフレックスがよいでしょう。血栓症はごめんだ、わざわざ2種類の配合剤ではなくシンプルにここまで進化した第4世代のプロゲステロンに期待する、少しの不正出血は大丈夫な方はディナゲストが良いでしょう。どちらにするか迷うことは多く相談して決めます。

 

5ミレーナ

「ミレーナで子宮内治療の方へ」を参照して下さい。

 

6当帰芍薬散、桂枝茯苓丸

妊活中の方は、上記のホルモン剤は使いにくいです。当帰芍薬散は月経困難症だけでなく不妊症にも流産予防にも適応があります。桂枝茯苓丸は炎症などを伴った悪い血が骨盤内に渋滞したもの(瘀血)をばらける作用を期待できます。桂枝茯苓丸は実証の薬ですが、痛みが強く症状が実と考えて処方しています。当帰芍薬散より効果はあります。しかし重症の方は厳しいです。

 

7エクエル

エクオールは子宮内膜症組織に対し、抗エストロゲン活性を発揮する可能性があります。特にエクオールはエストロゲンβ受容体に親和性が強く、内膜症細胞ではβ受容体が強く発現しているとされます。今後の研究に期待するところですが、上記の治療が難しい方にとって治療の選択肢に入るでしょう。やはり漢方と同様に重い方は無理です。

「エクエル内服の方へ」を参照して下さい。