当院の診療内容(1)

2023-05-13 21:26:00

1)ミレーナは子宮の中に挿入し、子宮の中で局所的に作用するお薬です。子宮内で持続的に5年間にわたり黄体ホルモンが放出されるシステムで、過多月経、月経困難症を治療する画期的な治療手段です。

 

2)本体はT字型で柔らかいプラスチックからできていて、子宮の中に入れると縦の部分から黄体ホルモンが放出され、子宮の内膜に作用します。黄体ホルモン(レボノルゲストレル)の子宮腔への放出速度は15μg/day、血清中濃度は290360pg/mLと極めて微量で、5年間ほとんど不変です。

 

3)黄体ホルモンの作用で子宮の内膜(月経血のもと)は増えることができず、月経量は減少し、月経時の月経血排出作業(月経痛)も確実に楽になります。

 

4)挿入は月経直後が望ましく、充分な洗浄消毒の後に超音波検査で挿入の方向や深さを決めます。帝王切開、子宮筋腫核出術後等の方は子宮に穴を開ける(穿孔)危険性高くなりますが、慎重に注意深く行うことで今までのところ当院で穿孔はありません。装着は数分程度で、そのまま帰宅です。

 

5)約1ヶ月後で次の月経が終了後にミレーナの状況を超音波検査でチェックします。ミレーナが脱出して存在しないことがありますが、その場合は保険で約1万円ですが戻ってきません。脱出率はバイエル薬品資料では6.2%ですが、当院では2~3%程度です。

 

6)装着して36ヶ月は月経以外に少量の出血見ることがありますが、徐々に減ってきます。自分の周期で月経は来ますが、量は減って行き経過良好な方は目薬程度になります。痛みも平行して楽になります。

 

7)副作用として、ミレーナの脱出、子宮内感染、穿孔などがあります。子宮筋腫、子宮腺筋症などが有り、進行増大している場合は、ミレーナがどんどん奥に入り抜去困難になることもあります。そのため子宮筋腫や子宮腺筋症がある場合は半年ごとに超音波検査が必要です。子宮中心部に筋腫がある粘膜下子宮筋腫の場合はミレーナやめた方がいいです。

 

8)ピルが飲めない方(閃輝暗転を伴う片頭痛、血栓症疑い、スモーカーなど)、内服が面倒な方には、5年間何もしなくて良いので最適です。もともとは避妊用で発売され、月経痛緩和などの副効用が認められ保険適用となった経緯があります。違和感もなく患者さんの満足度が高い治療法ですので、困っている方はぜひ相談して下さい。